北京冬季オリンピックの数ある競技の中でも注目された競技の一つはスピードスケート唯一の団体競技であるチームパシュート(団体追い抜き)ですよね。
結果は銀メダル獲得という素晴らしい結果でした。
選手たちには悔し涙を見せていましたが、私たちに感動を与えてくれました。
チームパシュートという競技は3人の隊列を作ってタイムを競いますが、途中で先頭が交代したり手を繋いで滑ったり、ルールが気になる!と思った方も多いと思います。
そこで今回は改めて、スピードスケートチームパシュートのルールと見どころについてまとめました。
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スピードスケートチームパシュート(団体追抜き)のルール
英語の「追いかけ・追跡」という意味の「pursuit」が語源となっている、スピードスケートチームパシュートのルールをまとめました。
ルールを知ると『パシュート』の由来が分かり、競技をより楽しめること間違いなしです(^^)/
基本のルール(スタート・ゴール・距離)
スピードスケートチームパシュートは1チーム3人の隊列を作り先頭の選手ではなく、最後を滑っている3人目の選手がゴールしたタイムで順位が決まります。
ゴールの際は最後の人のブレード(スケートシューズの歯)がゴールラインに達することが条件。
一試合につき2チームで競い、スタート地点はリンクの対角から同時スタートします。
チームで先頭の選手や滑る順番を替えながら、一周400mのリンクを女子は6周(約2400メートル)、男子は8周(約3200m)します。
リンクの対角からスタートするので、2チームの差が分かりづらく勝敗がギリギリまで読めないのがチームパシュートの面白いところの一つ。
ゴールラインも対角となるので中継などでは上下2画面のことが多いのです。
メンバーは4人登録の3人出場
チームパシュートは3人の隊列を作ってリンクを滑りますが、登録メンバーは4人の選手が登録されます。
その為、テレビなどでは4人でインタビューを受ける光景などを目にしますよね。
今回の北京オリンピックで登録されている女子チームパシュートの日本代表はこちらの4人。
・高木美帆選手
・高木菜那選手
・佐藤綾乃選手
・押切美沙紀選手
高木美帆選手、高木菜那選手、佐藤綾乃選手は2018年平昌オリンピックの金メダリスト。
押切美沙紀選手は2014年ソチオリンピックでチームパシュートで4位。
この実力も経験も備わっている4人が、準々決勝、準決勝、決勝とそれぞれのコンディションと役割を考慮して3人が滑ることとなります。
3人ではなく4人のチームワークが重要となってくるチームパシュート。
どんな戦略でどの3人で滑るのか試合ごとに変わってくるのもチームパシュートの面白さの一つです。
先頭を滑る回数や隊列の順番
スピードスケートチームパシュートのルールにおいて、先頭を滑る回数や隊列の順番に決まりはありません。
以前は各選手1度は先頭を走らなければいけなかったようですが、現在はとにかく3人のうち最後の1人がゴールした選手のタイムがチームの記録となります。
先頭同様、2番目3番目を滑る選手の交代のタイミングや回数も決まりはありません。
失格になる場合とは
スピードスケートチームパシュートの競技には細かなルールや失格の条件がいくつかありますが、ここでは分かりやすい3つの失格になる場合をご紹介します。
フライング2回で失格
スピードスケートチームパシュートで2回目のスタートでフライングをしていまうと失格となります。
たとえ1回目のスタートで相手選手がフライングをしていたとしても2回目のスタートでフライングした選手が即失格になるという厳しいルールになっています。
これは、スピードスケートのどの競技も共通の失格のルールです。
スタートの際は、スターターの号令とピストルの合図によってスタートとなります。
①選手は「Go to the start(位置について)」の合図で、スタートラインに立ち
②「Ready(よーい)」の合図で完全に静止
③ピストルの合図でスタート
上記の号令②の「Ready」で少しでも動くとフライングとみなされてしまうということで、スピードスケートのの選手はこのフライング対策の練習もしているかもしれませんね。
チーム1人でも転倒したら失格
スピードスケートチームパシュートはチームで3人目がゴールしたタイムで競うので、チームで誰か一人でも転倒してしまった時点で失格となります。
色々なスポーツで様々な団体競技ありますが、チームパシュートはより選手間の絆や信頼関係が重要になってくるスポーツと言えそうです。
相手チームに追い抜かれた時点で失格
スピードスケートチームパシュートは、相手チームに追い抜かれた時点で失格となり勝敗がきまります。
これは、チームの先頭を滑っている選手ではなく最後尾を滑っている3人目の選手が相手選手に追い抜かれた時点で失格となり負けてしまいます。
この失格になる条件はまさに競技名のパシュート、すなわち追抜きをよく表しています。
チームパシュートは2チームがリンクの対角地点から同時スタートするので、スタートの時点で半周の差があり、この半周の差を追い抜かれた時点で失格となり負けということになります。
いかに3人全員がスピードを落とさずに滑り切れるかという戦略が重要になってくるのか、この失格の条件からみても分かりますよね!
スピードスケートチームパシュートのとみどころと豆知識
ここまで、スピードスケートチームパシュートのルールや意味を解説してきましたが、より楽しく観戦できるように見どころと豆知識をまとめました。
なぜチーム内で追抜きを行い先頭を交換して滑るのか
スピードスケートチームパシュートでは風圧の影響を分散させるために追抜きを行い、先頭を交換する戦術がとられてきました。
スピードスケートチームパシュートでは、選手は時速50km以上で滑ります。
このスピードで滑ると選手にかなりの風圧を受けながら滑っています。
チームパシュートでは、3人の隊列で滑るので先頭の選手が最も風圧の影響を受けて滑ります。
テレビなどの映像では風圧の影響を感じにくいですが、女子チームパシュートが滑る2400mを1人の選手が滑るよりチームパシュートの記録の方が早いのです。
先頭の選手がより多くの風圧を受けるということは、それだけ体力を消耗するということ。
だから、チームパシュートは3人の体力と技術を最大限に生かすために高速で滑りながら隊列を入れ替えて滑ります。
チームパシュート(団体追抜き)なのに追抜かない!?
2大会連続金メダルを期待されているチームパシュート女子日本代表ですが、「団体追抜きなのに追抜かない」戦術を取り入れたことが話題になっています。
今まではどの国のチームも、先頭を滑る選手の風圧の影響による体力消耗を分散させるために3人の選手が先頭を入れ替えて滑っていました。
ところが、近年先頭を一度も変えずに滑るチームが良いタイムを出し始めています。
風圧による体力消耗を分散させるよりも、隊列を入れ替える際のタイムロスを減らした方が記録に結び付くという戦術。
チームパシュート日本女子代表も、平昌オリンピックの時よりも追抜きを少ない戦術をとるといわれていますので、ぜひ注目してみてくださいね。
プッシュ作戦と手つなぎ作戦
北京オリンピックでは「プッシュ作戦」と「手つなぎ作戦」に注目することをお勧めします。
団体追抜きなのに追抜かない、先頭を交代せずに滑る戦術は隊列を入れ替える際のタイムロスは減りますが、先頭の選手が一身に風圧の影響を受けます。
先頭の選手の体力消耗をカバーするために、強豪国のチームは後ろの選手が前の選手を押し続ける「プッシュ作戦」を取り入れています。
作戦名の通り、後ろの選手が前の選手をプッシュしてアシストするのですが、選手間の距離が近いので接触や転倒のリスクが高くなります。
そこで日本チームは新たに「手つなぎ作戦」を考案。
背中や腰をプッシュするのではなく手を繋ぐことによって前の選手とリズムを合わせやすく、プッシュする力も伝えられます。
ただし、これらの「プッシュ作戦」や「手つなぎ作戦」は諸刃の剣とも言われています。
その理由は、前の選手との距離が近いので一瞬のバランスの崩れが転倒に繋がる可能性が高いからです。
北京オリンピックの決勝がまさにそうでしたね。。
それほど、これらの戦法は選手一人ひとりの技術とチームワークあって初めて挑戦できる戦法なのです。
ぜひ北京オリンピックでは各国のチーム内追抜きの有無や回数、プッシュ作戦、日本チームの手つなぎ作戦に注目してみてくださいね(^_-)-☆
まとめ
今回はピードスケートチームパシュートのルールと見どころについてまとめました。
追抜くという語源から競技名が付けれられたチームパシュート(団体追い抜き)
しかし北京五輪では追抜かないチームも多く、新たなチームパシュートの歴史が始まっていることを感じました。
競技のルールが分かればより楽しく観戦できるチームパシュート。
ぜひ、こちらの記事を参考にこれからもチームパシュートを始めスピードスケートを応援していきましょう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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